忍術について

 魔物と対峙する事の多い郷者であるが、使う忍術は他流派同様、本質的には体術が中心だ。体術・武器の扱いに優れた者には独自開発した特殊な武器を与えられる。
 しかし、人ならざる者と相対するため、郷者特有の忍術(能力)がある。「術式(じゅつしき)」と呼ばれる、いわゆる妖力のようなものだ。
 術式は誰にでも使えるわけではなく、適性を持った者が修練した上で使うことが出来る。術式の能力は「巫術(ふじゅつ)」「業術(ごうじゅつ)」の二種類に分けられる。

 巫術(ふじゅつ)の能力が高い者は、所謂巫女的な役割を果たす事が多い。防御・浄化等に関する力を発揮したり、依代のような役目を負う事もある。ごく稀に、癒しの力を発揮する者もいるが、蘇生術のような便利なものは一切存在しない。

 業術(ごうじゅつ)の能力が高い者は、攻撃するための術を編む事に長けており、呪いなどをかけることも出来るというが、技の性質は個人の性質に大きく左右されるらしい。

どちらの術も、「その場で呪文を唱えて魔法の様に容易に使える」ものではなく、一定の時間をかけて術を施す(仕掛ける)ことによって初めて使える。最も多いのは「場所に仕掛けを施しておく」「道具や武器に仕込んでおき、攻撃の際に使用する」というものだが、後者は術の維持に高い能力が必要となる。
 このように、基本的には瞬発的に発揮できるような能力とは多少異なるため、魔法の様に便利にも派手にも使えない。能力に長けていてもある程度体術を習得せねば戦線に派遣できないので、一長一短である。
 ゆえに、この二つの術を使う者の場合、体術にもある程度優れている(体術的には劣っていても、術の能力が非常に高い)しのびのみが「数字」を与えられている。

 郷者には能力や役割によって所属する部署が異なる。術式の力が強い者はそれらを司る部署に所属している(両方の力を強く持った者というのはおらず、必ずどちらかに秀でる)。
 術式の能力をわずかに持つ者もいるが、正式な術として使える状態にはないと判断される場合、体術やその他の業務を行う部署に配属される。