蔵・蔵守

 「蔵」は、郷から少し離れた場所にある竹林に囲まれた、小さな平屋の建物と、渡り廊下で繋がった書庫(蔵)の事である。何百年も昔に建てられた白い「蔵」が目印となっており、この場所や一族を総称して「蔵」と呼んでいる。
 蔵には、この地を中心に全国で魔物退治や調伏を行っていた者達の活躍を記した幻の本『鍍箔金』や『麒麟黎伝』をはじめ、陰獣の伝承・研究書、古文書など、数々の貴重な文献が収められている。中には海外の魔物に関する危険な書物もあるという。
 郷のしのびが蔵の書物を借りに来ることも珍しくない。郷の図書館、資料館のように使われている場所である。

 蔵は、陰獣や郷者とも縁の深い一族の誰かが代々「蔵守」をつとめ、管理している。蔵自体は郷にとって特別な存在なので、何かあった際には郷のしのびが蔵を守る。
 蔵の周辺一帯は特殊な結界によって守られているため、魔物が容易に近付く事は出来ない。立ち入ることが出来るのは、主が許可したもの、蔵と古くから縁のあるけもの、また「ちいさなけもの(害をなさないもの)」に限る。

 蔵の主となる者で男子の場合、なぜか僧侶のような恰好をしていることが多い(寺社仏閣とは一切関係はないのだが…)。